キュービクル・電気室に関する高圧設備について
高圧受電設備の役割や構成について
1.高圧受電設備の役割
発電所から変電所を通して送られてくる高圧の電気を受け入れて、最終的に使用できる電圧に変換するための設備一式を「高圧受変電設備」と呼びます。
大量の電気を使うビルや工場では欠かすことのできない高圧受変電設備は、施設内の小さな変電所です。
電力需要が50kWを超えることが見込まれる施設では、電力会社から高圧(6,600V)での受電が求められます。そこで受変電設備を設置して、電力会社から高圧6,600Vを受電し100Vや200Vといった低電圧に変圧器で変換し電気を使用することができます。
2.受変電設備の構成
高圧受変電設備は、高圧の電気を受電し変圧し、構内の各機器に配電するための機器によって構成されます。各機器とは区分開閉器、断路器、負荷開閉器、遮断機、変圧器、保護継電器、制御装置、計測機器、配線用遮断器などがあります。
これらの機器は需要家構内の電気室等に設置されるか、図のようなキュービクルと呼ばれる金属製の箱の中に収納して設置されます。
3.高圧機器の更新
電気設備の更新時期は機器や環境により様々ですが10年を過ぎたら注意が必要です。電気設備の老朽化は思わぬ事故を引き起こします。
特に電力会社の配電線に直結している屋外の区分開閉器は、老朽化が進むと波及事故に至る可能性が高まります。
地絡事故(高圧側の漏電)の影響を水際で防いでくれるGr付き区分開閉器の場合は、保護機能の維持も重要なポイントとなります。
波及事故が発生すると、社会的に大きな影響を及ぼすことが想定されるため、国への報告が義務付けられています。
また、受電設備が老朽化すると波及事故に至らなくても、突然、停電にみまわれたり感電事故を引き起こし、工場の操業停止など経済活動に支障をきたすことになります。下記表は高圧機器の更新推奨時期の目安です。
機種 | 更新推奨時期(使用開始後) |
---|---|
高圧交流負荷開閉器 | 屋内用 15年 または負荷電流開閉回数200回 屋外用 10年 または負荷電流開閉回数200回 GR付き開閉器の制御装置は使用開始後10年 |
断路器 | 手動操作 20年 または操作回数 1000回 動力操作 20年 または操作回数 10000回 |
避雷器 | 15年 |
交流遮断器 | 20年 または規定開閉回数 |
計器用変成器 | 15年 |
保護継電器 | 15年 |
高圧限流ヒューズ | 屋内用 15年 屋外用 10年 |
高圧交流電磁接触器 | 15年 または規定開閉回数 |
高圧進相コンデンサ | 15年 |
直列リアクトル、放電コイル | 15年 |
高圧配電用変圧器 | 20年 |
4.電圧の種別
電力需要が50kWを超える施設では高圧受変電設備を設置しなければいけませんが、その分電力量料金が安く設定されているというメリットもあります。
ここからは、日本で定められている電圧の種別について見ていきましょう。
電技省令第3条では、電圧の区分を表1のように規定しています。
区分 | 交流 | 直流 |
低圧 | 600V以下のもの | 750V以下のもの |
高圧 | 600Vを超え、7000V以下のもの | 750Vを超え、7000V以下のもの |
特別高圧 (特高) | 7000Vを超えるもの |
交流6,600Vは「高圧」という区分になり、この高圧電気を受電するためには高圧受変電設備を設置する必要があります。一般的に、高圧契約での受電は低圧契約に比べて電力量料金が格安に設定されています。
ビルや工場といった大きな施設では、それだけたくさんの電気が使われます。その電気を効率的、かつ低コストで使用するために高圧受変電設備は大切な役割を担っているのです。
キュービクルとは?導入のメリット・デメリット
1.キュービクルって何?
キュービクルとは、発電所から送られてくる6,600Vの電気を、施設で使える100Vや200Vの電気に変圧する機器を金属製の箱(筐体)に収めたもの。
正式名称は「キュービクル式高圧受電設備」です。
キュービクル式高圧受電設備は、電力会社との電気供給契約が50kW以上の施設等で受電するときに必要になる設備です。
商業施設や工場、オフィスビル、病院や学校など様々な建物で使われいます。主に駐車場や屋上に設置されています。
2.キュービクルの構成について
外観は、ただの大きな箱のに見えるキュービクル。
キュービクルの中には、発電所から送られてくる高電圧の電気を受電して、変圧し、各機器に配電するための重要な機器がたくさん収められています。
変圧器、断路器・負荷開閉器・遮断機など回路の開閉などを行う機器、保護装置、電圧や電流などの測定・表示を行う計器類、コンデンサなどによって構成されています。
これらの高圧機器が丈夫な箱に収容されているため、感電や停電といったトラブルを防止することにもつながっています。
3.キュービクルを導入するメリット・注意点
メリット
1.高い安全性
金属製の箱(筐体)に機器を収納するため、充電部などがむき出しにならず、小動物などの侵入を防げることから、感電・停電といったトラブルの発生を防止します。また、屋外に設置する場合は、開放形に比べて風雨や外気、日射の影響を少なくできるため、耐環境性にも優れています。
2.設置が容易
キュービクルは工場で完成したものを出荷時(運搬)に1~3面毎に分割します。現地への搬入~据付後に分割箇所の配線接続をすることで完成品となるため、現地で機器設置、機器間配線、組立をする開放形よりも工期が短縮できます。
3.狭い場所へ設置可能
キュービクル式高圧受電設備はコンパクトな筐体に機器を収納しているため、駐車場や屋上などの比較的狭い場所にも設置することが可能です。そのため、建物や土地にかかるコストも削減することができます。
注意点
1.内蔵機器の大きさの制限
キュービクルは必要な機器をコンパクトに収納することには優れていますが、大きな機器の収納には限界があります。一般的には1,000kVAを超える大形の変圧器の収納は困難です。
2.改修性を考慮した設計が必要
キュービクル式高圧受電設備は一度設計すると、設備を改修する際に大きな時間とコストが必要になります。そのため、下記の点を確認する必要があります。
- キュービクル内に機器増設用の開閉器や、空き回路といった増設を見越した設計が行われているか否か
- 追加キュービクルのためのスペースや配線用のピットが施工可能か、フェンスを含めた用地確保が可能か
- 屋上にキュービクルが設置されている場合は、クレーンの吊り上げ作業に必要なスペースがあるかどうか、吊り上げ時に公道を使用する必要が有るか
電気をたくさん使う施設では、必要不可欠な設備であるキュービクル。
コンパクトで安全性も高く、どんな施設でも設置しやすい高圧受変電設備です。その一方で、高い専門性が必要となります。
キュービクルの設置で押さえておきたい3つのポイント
受電容量50KW以上になると必要になるのが高圧受電設備
弊社では高圧受電設備(キュービクル・電気室)の新設・増設・改造を行っております。官民問わず豊富な経験で御社をサポートいたします。
耐用年数について
設置環境が屋内か屋外か、そのほかさまざまな条件の違いでキュービクルの耐用年数は違ってきます。屋内設置なら50~60年ですが、屋外設置では20~30年とその1/2程度の寿命と考えて差し支えないでしょう。ただし、これはあくまでも目安で、補修や清掃、再塗装などのメインテナンスを適切に実施していないとさらに耐用年数は短くなります。また、キュービクル内部の遮断機や負荷開閉器と呼ばれる機器の耐用年数は15~20年が一般的で、その都度、適切に修理・交換が必要です。
高圧受電契約は電力単価が安くなる
変電設備を自前で用意・管理するため
対応できないケースはありますか?
基本的には全て対応可能です。別途ご相談くださいませ。ただ特殊なケースではごく例外的にご要望に添えないこともあります。まずはご相談ください。
新設や改修、入れ替えに伴う停電の影響を小さくできませか?
確かに必要な作業とはいえ、お客様の操業に支障が出るようでは問題です。その点、当社なら事前に必要な機器などを組み立てた状態でお持ちするなどして、現場での作業効率を上げ、最短で施工を完了できますのでご安心ください。
工事で電気が使えなくなる停電時間はどれくらいですか?
工事内容によりますが、2~12時間ほど使えなくなります。停電時間を短くしたいというご要望にも応じています。お気軽にご相談ください。
受電設備の増設を計画しています。工事から申請までおまかせできますか?
関電、管轄の消防署など関係各機関への申請も当社におまかせください。 また、増設だけでなく新設・入れ替え・改修も対応できますのでご検討ください。
キュービクルの月次点検業務はされていますか?
弊社では月次点検業務は行っていません。ただし、信頼の出る業者のご紹介をさせていただいています。
中古品の取り扱いはありますか?
弊社では基本的に中古品はお勧めしていません、短期でどうしても必要な場合はご用意できますが長期使用には適していません。
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